◆藤本なおや 委員  入札制度、あとは周年行事、時間があれば芸術会館、引き続き。
 入札制度について、競争性、公平性の確保ということで、これまでも、きょうも質疑がありました。私のほうからは、建築工事に絞って多角的な観点から幾つか伺ってまいります。
 初めに、最近入札において不調が増えてきているというふうに聞き及んでおります。その件数の推移、原因、区はどのようにとらえているのか。

◎経理課長 不調と言われるのは一般的にやや増えているのかなと思っております。工事関係でいいますと、昨年3件程度だったものが、ことしが9件というふうに増えております。
 その原因でございますが、1つには、工事の予定価格を事後公表にしたということも影響していると思いますし、あるいは社会経済情勢といいましょうか、都心部での工事が増えていたりとか、あるいは部材の高騰であるとか、もろもろの原因が考えられるのかなと思っております。

◆藤本なおや 委員  先日、建設業界の関係の方々と私どもの会派で意見交換会を開かせていただきました。そのときに入札制度についてさまざまなご意見を拝聴したわけでありますけれども、そこで最近、入札の公平、競争性、また透明性、こういった確保からくるダンピングぎみとも言われる低予算、低価格が進んでいるんだという実情を聞いたわけでありますが、そもそも区が算出しております予定価格はどのように算定しておるのか、その詳細な経緯を確認しておきます。

◎営繕課長 区の工事費の積算でございますが、いわゆる積み上げ方式ということで、図面をもとに、まず数量を拾います。その数量に施工の単価を掛け合わせて、いわゆる直接工事費を出し、そこに共通仮設並びに運搬諸経費等を加えて起工額というふうにしております。

◆藤本なおや 委員  今、単価という言葉が出ましたけれども、この単価はどういった基準で決められているんですか。

◎営繕課長 基本的には、東京都が算出しております標準単価をもとに、区で同じように標準単価を算定してございます。また、それによらないものにつきましては、実勢価格を探る意味でも、市場の価格としての積算資料であるとか建設物価であるとか、そういったところをもとに、その算定根拠を探しているところでございます。

◆藤本なおや 委員  単価の根拠については今ご答弁あったとおりですけれども、今、原油価格が非常に高騰したりとか、資機材の価格が目まぐるしく変動しております。このような経済情勢を見込んで単価改定はどのくらいの頻度で行われているのか、また、落札後工事着工に至るまでのタイムラグから生じる物価変動についてはどの程度対応しておられるのか、その辺はいかがですか。

◎営繕課長 確かに実勢価格でも価格が非常に動いているというものもございます。今ご指摘ございましたが、3カ月間で、例えば原材料で14%ぐらい上がっているというものもございます。そういう意味では、非常に厳しい事情ではございますが、年に4回改定をしてございます。極力その中で今の値動き等を正確に把握していきたいというふうなところをやっております。
 また、そのタイムラグというようなお話もございました。確かに、現在積算をして工事を行って物品が納入されるのは2年後といったようなのが工事として往々にございます。そういった場合には、非常に値動きが激しいものにつきましては、どういう値で入れるのかということで、その勘どころが非常に難しいということもございます。そういったような値動きを十分に把握しながら、ただそうはいっても、現在の価格ということも根拠に置かなければなりませんので、そういったことを十分に念頭に置きながら、費用は算定をしているというのが実情でございます。

◆藤本なおや 委員  このことに関連して、区が当初見込んでいた予算額に対する起工額との差額あるいは区が積算した予定価格と落札金額が低額になればなるほど、こういった落差金というのが出てくるわけなんですけれども、まずは、こういったものについてどのように対処、処理をされているのか、この辺はいかがでしょうか。

◎経理課長 落札によっていわゆる落差金、落札の差金だと思いますけれども、基本的には入札の1つの成果というか効果というか、そこで貴重な予算をそれだけ安く契約をしたということで生じたお金ということになると思います。基本的には、これは予算上のそういった努力によって生じた残として、帳簿上取り扱っていくというようなことで取り扱っております。

◆藤本なおや 委員  今し方申し上げたとおり、物価変動によって生じた単価改定については、著しい変更があった場合ですけれども、改めて積算し直して、こういったもので柔軟に対応していくことも求められていると思いますし、また、受注業者が地元住民との工事説明会を行った際に、例えばもっと警備員を増やしてほしいよと、こういった要望があったときに、落札金額以上に想定されていなかった諸経費がかかってしまった場合とか、さらには、改修や修繕工事などで実際壊してみないとわからない、こういった想定外工事というものも多々見受けられるわけでありまして、これらの諸経費に対して、品質及び安全の確保上、落差金などののりしろというものを有効に活用しながら柔軟に対応していくということも必要なのかなと思いますが、区の見解をお聞かせください。

◎営繕課長 確かに掘ってみなければわからないといったような現場もございます。実際に掘りますと、過去の建物の基礎が大きいものが出てきて、解体に極めて困難、時間やまた費用を要するということも間々ございます。そういったものを一方的に業者のほうに負担をということはできません。基本的には契約条項に従いまして、設計図書並びに我々の仕様書に書いてなかったものが発生した場合には、現場で協議をするということでございますが、そのときに、当然これは見なければならないというものについては、どこに財源を求めるかはともかくとして、そういった協議の上、変更の契約ということも場合によってはあるということがございます。その中で起工額との差を使うかどうかにつきましては、それは財政当局とのさまざまなお話し合いということになろうかと思います。

◆藤本なおや 委員  予算額と起工額との差額、また落札との落差金については、元をただせば税金なわけですから、効率的な執行を心がけるということも、ある意味わかるわけですけれども、一方で、現場での円滑な施工を進めるためには、改めてこういった柔軟な対応というものも求められているんだよということも、あわせてこの場で要望とさせていただきます。
 それと、区が発注する工事の中で、さっきも質問がありましたけれども、芸術会館のように意匠に凝った建築物ですと、必然的に特殊な施工が必要になってくるわけでして、こういったケースだと予算に対して積算で無理をしてくる、こういったケースもあるわけであります。また、区が積算した予定価格が実際の物価とずれていないのかどうか、こういったことも、例えば外部の専門の積算事務所に委託をして、客観的な立場から、区が算定した予定価格が妥当な金額なのかどうか、こういったことを検証していく。もちろん予定価格の算出、算定においては、外に漏れないということは絶対的な要件なわけですけれども、こういった外部に予定価格を検証させていくような制度というものをこれから考えていくべきだと考えますが、区の見解を伺っておきます。

◎営繕課長 今例示として出されましたが、確かにああいった芸術性の高いもので、過去施工経験のないようなものにつきましては、積算するに当たっては、ある意味では過去の経験則からとらえられないということもございます。ただ一般的には、学校であるとか児童館、保育園につきましては、過去、従前ずっとやってきているところもございますので、改めてそれを客観的に第三者的に評価、検証するようなところまであえて求めるかどうかということについては、いろいろな意見があるかと思います。
 ただ、芸術会館につきましては、今、ああいったデザイン事務所でも、設計事務所の中に構造部門であるとか設備部門であるとか積算部門を擁してないという事務所が多うございます。どういうふうにやっているかといいますと、いわゆる協力事務所を仰いでやってございます。今例示がございましたが、芸術会館につきましても、基本的には外部の積算の専門の事務所に数量拾いはやらしておりました。そういう意味では、そんなに大きな変動はないのではないかなというふうには思ってございます。今後の積算価格の適正化、妥当性、そういったものでのほかへのダブルでチェックというようなものにつきましては、ご意見、ご要望として承らせていただければと思います。

◆藤本なおや 委員  実際、芸術会館については、2回か3回不調になっているわけでありまして、こういった実例もとらえながら、ぜひ前向きに検討していただきたい、このように思います。
 それで、最近発注者から交付された設計図と工事着工時の現場に若干の違いというのが多々見受けられる、こういうふうに聞いておりまして、その場合の設計図面の修正というのは、ほとんど受注業者が持ち出しで負担をして行っているというふうに聞き及びました。こういうような状況は、受注業者にとって想定外の過大費用の負担となっていることから、入札時の設計図の不備、こういったものの是正及び設計変更に係る経費といったものは発注者の責務で適正に行われるべきと考えますが、区の見解を伺っておきます。

◎営繕課長 私のところまで、いわゆる現場と設計図書が大いに食い違いがあって非常に困難があったというようなことを受けているというものではございません。基本的には適切に設計がなされているというふうには考えております。
 今、当然に設計図書で契約は行って、積算を行っているわけでございますが、参考のために数量の内訳を公表してございます。その数量についての若干の違いがあるのではないかというような声は届いてございます。
 いずれにいたしましても、芸術といったような対応はないんですが、業者のほうでそういった受けとめ方もあるということで、何ともなあというふうに思います。仮にそういった、大きく設計図書と現場が違うということであれば、これも契約条項に記載がございます。それにつきましては、両方協議をしてということでございますので、契約条項にのってしかるべき対処をするということでございますが、ただ、現実今まで我々がやってきた範囲の中では、そう大きな問題というふうには上がってないと私は理解をしております。

◆藤本なおや 委員  時間がないので、次に行きます。
 次に、相互参入について伺っておきます。
 ことしから当区は板橋区と協定を締結しておりまして、相互参入を行っております。まずは、この質問に当たって、冒頭、都内でこのような相互参入を行っている自治体がほかにあるのかどうか、その状況を把握していればお示しください。

◎経理課長 相互参入は、私ども16年度から市部の幾つかの自治体とのお話し合いで始めて試行を始めました。今年度から板橋と協定を結んだということでございますが、都内を見渡しましても、そういった例しかございません。

◆藤本なおや 委員  この相互参入によって、板橋の業者がどれくらい区の事業を受注したのか、また逆に、区内の業者が板橋の事業をどれくらい受注できたのか、その実績について伺うとともに、今後、板橋以外の自治体とそういった相互参入の協定締結をしていく意思があるのかどうか、このことを伺っておきます。
 それとあわせて、相互参入についての区としての、現段で抱えております問題、また課題点、こういったものがあればお示しください。

◎経理課長 3点ほどあったと思います。まず実績については、今年度5月から始めたわけですけれども、今のところ2件の工事がお互いにありまして、お互いの参入の機会を設けたわけでございますが、杉並、板橋ともに、それぞれバーターといいましょうか、1社ずつ応札をしたことはございますが、まだ落札をしたという実績はございません。
 それから、これ以外の自治体との考えがあるのかということですが、昨年度、前任の課長がいろいろ23区にお声をかけて板橋が手を挙げていただいたということで、私ども、こういった一種先行した取り組みでしたので、引き続き23区に声をかけていきたいというふうには思っております。
 それから問題点ということですが、今やってみて、基本的には大体同等の工事をバーターで入れるわけですけれども、なかなかそれがすり合わせができないということ、その背景には、両区の工事に当たっての参加資格の考え方が少しずれがあるとか、そういったことがあろうかと思いますが、いずれにしても相手方のあることですので、12月までやってみて、今後どうするかということを検討していきたいと思っております。

◆藤本なおや 委員  板橋以外の自治体とこれから協定を結ぶ意思があるのかどうか。

◎経理課長 ちょっと言葉が足りませんで、今後23区の経理課長会等を通じてお声をかけて、今のところ具体的に手を挙げてくれるところはありませんけれども、引き続き勧誘というか、お誘いをしていきたいと思っております。

◆藤本なおや 委員  相互参入だったりとか、予定価格の事前公表をやめたりとか、こういった入札制度を今まで当区はやってきて、改革をこれからも続けていかなくてはいけない、私もこのように思っておりますけれども、しかしその前段として、発注当局側が、現状の入札制度において受注者がどういった思いを持たれているのか、言い方をちょっと変えると、受け手から見た入札制度の弊害だったりとかシステムの障害、矛盾、こういったもの、今まで気づかなかった点を、ある意味一定の距離感を持ちながら、パブコメじゃないですけれども、意見交換をしながら、そういったものを参考にしてこれからの入札制度に生かしていく、こういった取り組みもこれからは必要になってくるのかなと思いますが、その辺はいかがでしょうか。

◎経理課長 発注者としては、もちろん受注者側と一定の距離を置くことは当然でございますが、ひとりよがりの改革ではもちろんいけないと思いますので、これまでも改革に際しては説明などをしてきたつもりではございますけれども、そういった場でご意見をいただくとか、あるいは個々の入札等でご意見が寄せられる場合もありますので、そういったことには耳を傾けて、よりよい制度にしていきたいと思っております。

◆藤本なおや 委員  現在の入札は、一般競争入札の拡大によって価格勝負でありますから、質より低コストを売りにする業者が当然有利になってくるわけでありまして、結果として大切な社会資本の質の低下というものを招いてしまっているのではないかとも私は考えておます。一例としましては、昨年問題になりました構造計算書の偽造問題、これも突き詰めれば過度なコスト削減に端を発したわけでありまして、こういったコストのみで評価することの危険性を示しているんだと私は考えております。
 そこで、今後の入札制度を考える上で、一般競争入札における公平性、透明性の確保とともに、優良な区内の業者をどのように育成をしていくのか、大変悩ましい課題であると思いますけれども、この2つの相反する考え方をこれから区はどのように両立をさせていこうとしているのか、その考えをこの項の最後の質問にお伺いをしておきます。

◎経理課長 入札・契約制度は、根本に区民の信頼のもとに行わなければいけないということで、1つには競争性といったことがあります。それからもう1つには、地元業者を中心に育成をしていくということがあって、相反するとは言いませんけれども、両者をバランスよく整えていくというようなことを考えております。
 いろいろな工夫が必要だと思いますけれども、1つには、区内業者の方々の中でも、ある契約の中で十分な競争性が保たれるというような場合は、そういったところで限定をしていく方法であるとか、あるいは広く競争性を求めるものをつくっていったりとか、バランスをとりながら、両者の目的を達成していきたいというふうに考えております。

◆藤本なおや 委員  わかりました。では、次の質問に移ります。
 次に、周年事業についてお伺いをします。
 先日の総務財政委員会で、またきょうも議員のポストにポスティングされておりましたけれども、75周年の記念行事の一環で相馬野馬追のイベントがある、こういうふうに聞き及んでおります。前回の70周年のときには、先ほども総務課長のほうからご答弁がありましたが、ノーベル賞を受賞した小柴博士をお招きをして記念式典が行われたわけなんですけれども、今度の75周年の周年事業に、こういった式典を行う考えがあるのかどうか、この辺はいかがですか。

◎総務課長 周年事業に伴う記念式典の考え方ですけれども、区制50周年が最初の記念式典でございました。50年、60年、70年とやってきまして、基本的には10年単位ということで記念式典を考えてございますので、今回はそのようなことは考えてございません。

◆藤本なおや 委員  式典はないということなんですけれども、75年という区政の節目なわけですよね。ですから、こういった節目節目をある意味うまく利用して、小柴博士のように区にとって誇りのある事業、また文化に貢献した方々に対して名誉区民として表彰する、こういった取り組みも考えてみるべきだと思いますけれども、この辺の見解はいかがでしょうか。

◎総務課長 おっしゃるとおり、今回も75周年ということで、記念事業の1つとしまして、名誉区民というふうなことを考えてございます。

◆藤本なおや 委員  考えているということですが、では、その進捗状況はどうなっているのか、どの程度進んでいるのか、また、もし行われるのであれば、表彰対象者はどういった過程で決められていくのか、その日程を含めてお伺いをします。
 それと、例えば名誉区民に選ばれた場合に、特典というか、何か副賞みたいのがどういったものが与えられるのか、その金額と詳細、この辺がわかればお示しください。

◎総務課長 日程というか、今の進捗状況でございますけれども、今候補者の選定に入ってございます。審査会を設けて、そこで審議をいただきまして、日程的には、そこで決定後、第4回定例会で議案でご審議をいただくというような考えでございます。
 特典というふうなご質問でございますが、小柴博士が第1号で既に受賞なさっておりますけれども、そのときと同様に、記念品といたしまして、今制作委託ということで、お一人50万円の記念品を考えてございます。そのようなことで現在進めているところでございます。

◆藤本なおや 委員  今進めているということなんですが、授与式なんかはいつごろ、どこで行うと考えているんでしょうか。

◎総務課長 授与式につきましては、第4回定例会でご審議いただいた後に決定後、来年の賀詞交歓会、1月7日に予定してございますが、そこで授与式を行うというような考えでございます。
 先ほどの中で、もう1つ、ロビー等にも、今回受賞する方、小柴博士含めまして、肖像写真というか、経歴なりお名前を書いたようなものを何らかの形で掲示をいたしまして、区民の方にもアピールしていきたいというふうに考えてございます。

◆藤本なおや 委員  今課長からも答弁ありましたけれども、当日表彰して、はい、終わりよというのではなくて、やっぱりそういった方々の功績だったりとか写真なんかを区の施設に、終生区民に知らしめるわけじゃないですけれども、わかっていただく、こういう方が名誉区民として杉並におられたんだよということをしっかりとお知らせをしていく、また、そのことによってすぎなみの輝き度を向上させていく、こういった取り組みにも一環としてつながっていくわけですから、ぜひそういったことも含めて工夫を凝らしていただきたい、このように思って、質問を終わりにいたします。